目の不自由な人は夢の中で何を経験しますか?

The dreams of a person without sight since birth can be just as vivid and imaginative as those of someone with normal vision. (Unsplash)
生まれながら視力のない人の夢は、通常の視力のある人の夢と同じように鮮やかで想像力に富んでいます。

[April 18, 2021 10.51pm AEST] – ジェームズ

[答えてくれる先生]

ケビン・ダフィー

ダルハウジー大学 心理神経科学部 教授

記事を音読します。

人間は目からの情報に非常に強く頼っています。(これを視覚情報と言います。)私たちの脳のほぼ半分は、視覚情報の理解にだけ使われています。ビジョン(映像)の提供を担当する脳内のネットワークのほとんどは、人生の早い段階で出来上がっています。

これは、私たちが、ビジョンに強く頼る色々な経験と、それらを記憶することを生まれてすぐの頃から始めていることを意味します。

私たちは生涯を通じて、自分の周りの物事の理解とそれへの反応のほとんどを、聴覚(音)や嗅覚(匂い)などの他の感覚からの経験ではなく、視覚的イメージと関連付けます。

通常の視力を持っている私たちにとって、夢は私たちが目覚めている日常生活の間に経験する視覚的なイメージでいっぱいです。視覚障害者が夢の中で何を経験するかを理解するには、出生時からの視覚障害者と、後年に視覚障害者になった人々の夢の経験を区別する必要があります。

同じように鮮やかで想像力豊か

視覚なしで生まれた人々は視覚経験を集めることができないので、もっぱら他の感覚を通して世界を理解します。その結果、出生時から失明している人々は、これらの視覚以外の感覚から得られる経験と記憶のコレクションを通じて、世界を理解する驚くべき能力を発達させます。

The dreams of people who develop blindness later in life become less visual as their time without vision increases. (Kinga Cichewicz/Unsplash)
後年に失明する人の夢は、視力のない時間が長くなるにつれて映像力が低下します。

生まれた時から視力を失っている人の夢は、通常の視力を持っている人の夢と同じように鮮やかで想像力に富んでいます。しかし、彼らの夢は彼らが集めた視覚以外の経験と記憶からできているので、彼らの夢は独特です。

通常の視覚を持つ人は、形、照明、色などの視覚的記憶を使用して見慣れた友人を夢見ますが、目の見えない人は、同じ友人を、その友人を表すように働く視覚以外の感覚からの経験のユニークな組み合わせと関連付けて友人を夢見ます。

言い換えれば、出生時から盲目の人々は全体的に健常者と同様の夢の経験を持っていますが、彼らは映像で夢を見てはいません。

人生の後半で視力を失った人の夢の経験は、生まれつき視力を持たない人とは大きく違います。それは、人生の後半で視力を失った人々は、夢の中で、目の見える人と非常によく似た方法で現れる多くの視覚的経験を収集する能力を以前は持ってたからです。

興味深いことに、そしておそらく予想されるように、後年に失明を発症した人々の夢の経験は、視力が無くなってからの時間が長くなり、視力のない経験をより多く集めるにつれて、映像の夢が少なくなります。

この記事は、クリエイティブコモンズライセンス(CCL)の下で The Conversation と各著作者からの承認に基づき再発行されています。日本語訳はarchive4kids(Koichi Ikenoue)の文責で行われています。オリジナルの記事を読めます。original article

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