小学校低学年(1〜3)向けの回答には、わかり易い読み聞かせ音声をつけます。

太陽がブラックホールになることを心配する必要はあるでしょうか?

画像:ブラックホールは非常に強い重力を持っており、近くにある物体は何も逃げ出すことができません。(Victor de Schwanberg/Science Photo Library via Getty Images

公開日:2026年9月3日 午前9時35分(EDT)

[質問]:匿名(アメリカ合衆国、7歳、イリノイ州シカゴ)
[答えてくれる先生]:Anuradha Gupta

一部の巨大な星は、その一生の終わりに自らの重さで崩壊し、周囲のあらゆるものを吸い込むブラックホールへと変化します

これは何十億年にもわたる星の生涯の劇的な結末ですが、私たちの太陽がたどる運命ではありません。私たちの太陽系にあるこの星は、そのような結末を迎えるほど大きくはないため、太陽がブラックホールになることを心配する必要はありません。太陽に何かが起こるとしても、それは何十億年もの時間をかけて非常にゆっくりと進行します。その頃には、あなたはもうこの世にいないでしょうし、それを見届ける人類さえ存在しないかもしれません。

天体物理学者として、私はブラックホールやその形成過程に魅了されています。宇宙にはさまざまな種類の星が存在し、それぞれの星が独自の生涯の物語を持っています。

星の誕生、生涯、そして死

人間と同じように、星にもライフサイクル(一生のサイクル)があります。星は、巨大なガスの雲が自らの重力で収縮して誕生し、燃料を燃やして光を放ちながら成長していきます。

生まれたばかりの星は、その中心部(核)で4つの水素原子を融合させてヘリウムという元素を作り出し、その際に星の光としてエネルギーを放出します。この燃料を燃やすプロセスは、星を内側へ引き寄せようとする重力に対抗して、外側へ向かう圧力を生み出します。これら相反する力が釣り合うことで、星は丸い形を保っているのです。

画像:太陽は中心部で水素原子を融合させてエネルギーを放出し、明るく輝いています。(NASA/GSFC/SOHO, CC BY

星が年老いていくと、やがて内部の水素をすべて使い果たしてしまいます。そうなると、外側へ押し返す力を維持できなくなるため、重力によって星は押しつぶされ、どんどん小さく収縮していきます。内部のヘリウム原子は互いに押し付けられて近づき、炭素、酸素、鉄といったより重い元素へと融合し始めます。

星は燃料を燃やし、輝き続けますが、やがて中心核にあるヘリウムの大部分が鉄へと融合してしまいます。しかし、複数の鉄原子を融合させるにはエネルギーを放出するのではなく吸収する必要があるため、この時点で燃料の燃焼は止まります。

すると重力が支配的になり、星の中心核は急速に崩壊し、劇的な爆発を起こします。より重い星の中心核は極めて高密度であるため、崩壊する星に向かって落下してきた物質が跳ね返り、衝撃波が生じます。この現象が、いわゆる「コア・コラプス型超新星爆発(中心核崩壊型超新星爆発)」を引き起こします。星は爆発し、酸素などの重い元素を宇宙空間へと放出します。その後に残るのは、小さく高密度な中心核を持つ「死んだ星:dead star」です。

画像:太陽のライフサイクル(Mariia Domnikova/DigitalVision via Getty Images

どのような星がブラックホールになるのでしょうか?

崩壊によってどのような「死んだ星」が形成されるかは、その星が誕生した時の質量によって決まります。質量が太陽の約8倍未満であれば、崩壊後には「白色矮星(はくしょくわいせい)」が残ります。これは極めて高密度な星で、内部の電子が互いにぎゅうぎゅうに押し込められ、個々の原子に束縛されない状態になっています。

質量が太陽の約8倍から20倍の星であれば、さらに高密度な「中性子星」が残ります。中性子星では、電子と陽子が押しつぶされるように融合し、中性子が生成されます。

質量が太陽の20倍を超える星の場合、最終的にブラックホールとなります。ブラックホールは重力が極めて強く、光でさえもその境界から脱出することはできません。

私たちの太陽は星としては比較的小さいため、その最期には崩壊して、地球とほぼ同じ大きさの白色矮星になります。最初は光を放っていますが、やがてゆっくりと冷えていき、最終的には「黒色矮星(こくしょくわいせい)」と呼ばれる、冷たく暗い天体になると考えられています。

太陽の将来について心配する必要はあるのでしょうか?

今から約10億年後、太陽は現在よりも高温で明るい星になり始めます。輝きが増すにつれて地球に降り注ぐ太陽光も強くなり、地球の気温は上昇していくでしょう。やがて海は蒸発し、私たちが知るような形の生命を地球上で維持することは極めて困難になるでしょう。

約50億年後、太陽の中心部にある水素をすべて使い果たします。すると中心核は重力によって収縮する一方で、その周囲の層(殻)では水素の核融合反応が続きます。これにより太陽の外層は大きく膨張し、「赤色巨星:red giant」と呼ばれる段階に入ります。この段階で太陽は巨大化し、地球の軌道にまで達する可能性があります。

その時点で地球が太陽に飲み込まれてしまうかどうかは、科学者にもまだ分かっていません。しかし、たとえ飲み込まれずに済んだとしても、太陽の熱によって地球上のあらゆるものが焼き尽くされ、複雑な生命体は生き残ることができなくなるでしょう。

恐ろしい話に聞こえるかもしれませんが、心配は無用です。太陽が地球の大気を飲み込み始める頃には、人類はおそらくとうの昔に滅亡しているでしょうから。

地球は約46億年前に誕生しました。もし地球のこれまでの全歴史を1日に例えるなら、人類の歴史のすべては最後の6秒間に起きたことになります。そして、太陽が赤色巨星になるまでには、まだ約26時間もの時間が残されています。

ブラックホールの近くにいると危険なのでしょうか?

仮に、今日突然、太陽がブラックホールになったとしましょう。そのブラックホールの質量が太陽と同じであれば、人類に差し迫った危険は及びません。地球や他のすべての惑星は、太陽から受けていたのと同じ重力を感じ続けることになるからです。

ブラックホールに吸い込まれるのは、ごく近く(数マイル以内など)にある物体だけです。太陽に最も近い惑星である水星でさえ、その軌道は太陽から約3600万マイル(5800万キロメートル)も離れています。

つまり、仮に太陽がブラックホールになったとしても、それによって差し迫った危険が生じることはないのです。

この記事は、クリエイティブコモンズライセンス(CCL)の下で The Conversation と各著作者からの承認に基づき再発行されています。日本語訳は archive4kids の翻訳責任で行われており、The Conversationによる正式な翻訳ではありません。オリジナルの記事を読めます。original article.

タイトルとURLをコピーしました