
公開日:2026年5月21日 午後4時15分(英国夏時間)
[質問]:なぜ男性用と女性用のジャケットではファスナーの位置が違うのでしょうか? – アグリマ 13歳、インド・デリー
[答えてくれる先生]:JuYoung Lee, Caroline Kobia

家族全員分の服を揃えた洋服店にいると想像してみてください。試着するために白いボタンシャツを手に取ります。デザインはごくシンプルです。これは女性用でしょうか、それとも男性用でしょうか?
ヒントがあります。多くの女性用シャツはボタンが左側に付いていますが、男性用シャツは通常右側に付いています。ズボンやジャケットのファスナーも、同じようなパターンになっていることがあります。

では、なぜ服の留め具の配置は、男性用と女性用で異なるのでしょうか?私たちのようなファッション研究者や歴史家は、この男女差について疑問を抱いてきました。その答えは、伝統、歴史、そして昔の衣服の作り方と深く関係しています。ファスナーのような小さなディテールでさえ、過去の物語を語ってくれるのです。
衣服には隠された歴史が詰まっている
現代の人々は衣服を求める時、色、着心地、スタイルなどを思い浮かべることがよく有ります。しかし、衣服は歴史家が「物質文化 material culture」と呼ぶものの一部でもあります。物質文化とは、人々が日常的に使うあらゆる物のことです。過去の物質文化を考察することで、人々がどのように暮らし、働き、考えていたのかを知ることができます。
ボタンやファスナーといった留め具は、単に実用的なだけではありません。何百年にもわたって性別と結びついてきたデザインの伝統も受け継いでいます。

男性用と女性用の衣服のボタンの位置が異なる理由としてよく挙げられるのが、ヨーロッパのファッション史です。かつて、裕福な貴族の女性たちは、ボタンや留め具の付いた複雑なドレスを身に着けていました。あまりにも複雑だったため、着替えに介助が必要だったのです。
一部の歴史家は、ボタンの位置は召使いが着脱しやすいように工夫されたものであり、階級の違いを反映していると考えています。
約90%の人が右利きです。侍女が貴婦人の着替えを介助する際、左側のボタンは侍女が利き手である右手でボタンホールに通しやすいように配置されていました。友人やぬいぐるみにジャケットのボタンを留めてみれば、この配置が侍女の仕事をいかに楽にしていたかがよくわかるでしょう。
ある説によれば、男性の衣服は、右手で左腰から武器を抜きやすいように留め具が工夫されているという。 Heritage Images/Hulton Fine Art Collection via Getty Images

一方、男性は通常自分で着替えました。そのため、シャツ、ズボン、制服は着用者が自分で簡単に操作できる留め具が採用されていました。つまり、右手で留められるように右側にボタンが配置されていたのです。
男性の衣服は、日常生活における実用性と機能性を重視して作られました。
例えば、歴史家の中には、ボタンの配置に影響を与えた可能性のあるものとして、軍事的な伝統を挙げる人もいます。男性はしばしば左腰に剣を携え、右手で剣を抜きました。ジャケット、シャツ、ズボンのボタンの向きは、生地が引っかかって邪魔になるのを防ぐのに役立ったのかもしれません。
ファッションの習慣はなかなか変わらない
19世紀初頭に衣料品が工場生産されるようになると、ブランドは一貫したデザインを必要とするようになりました。工場はパターンが標準化されている方が効率的に生産できるため、ボタンの付け方の伝統は、人々がその起源を忘れてしまってもそのまま残りました。
1900年代初頭にファスナーが普及すると、衣料品会社は男性用と女性用の衣服の留め方に関する慣習をそのまま見習いました。新しいルールを作る代わりに、多くのメーカーはボタンに使っていたパターンをそのまま使い続けました。そのため、ファスナーはしばしば古い衣服の留め方と同じ「方向」をたどることになりました。

今日、多くのブランドがユニセックスやジェンダーニュートラルな服を誰にでも着られるようにデザインしており、多くのデザイナーはもはや昔ながらの左右非対称のルールにとらわれていません。それは単なるファッションの慣習に過ぎず、男性と女性でファスナーやボタンの位置が違う必要などないのです。
今では、ボタンやファスナーの位置に関する古いルールを破ることは、より受け入れられるようになっています。自分で服を作るなら、ボタン、ファスナー、スナップ、紐、マジックテープ、あるいは自分で考案した新しい留め具など、好きな場所に留め具を付けることができます!

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